メモ:明晰夢:スティーヴン・ラバージの実験と分析哲学者の戯論

・1980年代に行われたスティーヴン・ラバージの決定的な実験結果から「明晰夢」が存在することが科学的事実として認められた。
  20120114_p075.jpg
  スティーヴン・ラバージ 『明晰夢 夢見の技法』春秋社 2005年 75頁

  20120123_book_stephen.jpg
 スティーヴン・ラバージ 『明晰夢 夢見の技法』春秋社 2005年



・ところが、1990年代になってもそれを認めず、己の哲学的信条を拠り所に、机上の空論を書き連ねていた哲学者がいる。大森荘蔵(故人)である。

・大森荘蔵は夢、つまり睡眠中に見る夢全般(明晰夢に特定していない)について次のように書いている。
  20120117_oomori_p45.jpg
  大森荘蔵 『時間と自我』青土社 1992年 45頁

20120117_oomori_p46.jpg
  大森荘蔵 『時間と自我』青土社 1992年 46頁

20120117_oomori_p52.jpg
  大森荘蔵 『時間と自我』青土社 1992年 52頁

20120117_oomori_p105.jpg
  大森荘蔵 『時間と自我』青土社 1992年 105頁



・大森荘蔵は次のように書いている(初出は 1991年8月の「現代思想」)から、スティーヴン・ラバージの実験結果を承知の上で完全に無視したようだ。

 「夢の生理現象、例えばレム睡眠の眼球運動とか脳波形、あるいは睡眠中の急激な揺さぶり起こしでの夢経験(これも夢の想起)報告等々はここでは本筋に何の影響も及ぼさない。」
  大森荘蔵 『時間と自我』青土社 1992年 106頁

  20120123_book_oomori.jpg
 



・夢について大森荘蔵のような戯論を主張した哲学者は他にもいる。ノーマン・マルコムの呆れるような主張をスティーヴン・ラバージが紹介している。
  20120114_p067.jpg
  スティーヴン・ラバージ 『明晰夢 夢見の技法』春秋社 2005年 67頁



コメント:
大森荘蔵はとても誠実な哲学者だった、と思う。ナマの現実より、己の構築した哲学的信念に忠誠を尽くした、という意味で。

・ウィトゲンシュタインにのめりこむような哲学者にありがちなことだが、言語の過大評価とイメージ能力の枯渇が夢に関する彼の戯論の背景にある。

・イメージ能力、つまり夢の中で見るような鮮やかなイメージを目覚めた状態で見る能力は、普通の現代人には自然に発生するものではなく、読み書きの能力と同様、長期に渡る辛抱強い訓練が必要だ。だから密教の観仏などの修行には膨大な時間を要する。


(2012.1.23) 作成


(2012.3.26 追記) これに関連する記事
メモ:スティーヴン・ラバージの明晰夢実験の追試が日本でも成功していた
Related Entries

Post a comment

Private comment

プロフィール

横着者 (ご連絡はコメント欄にて)

Author:横着者 (ご連絡はコメント欄にて)

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR