The Transcension Hypothesis: 超越仮説:なぜ地球外文明が見つからないのか?の回答 (+追加)

What's New :

・(2016-10-30 追加)Fermi パラドックスの様々な回答案を詳しく解説した動画を追加。



要旨(デタラメ):
・充分に発達した文明は必然的にこの宇宙から去ってゆく、という仮説。

・提唱者は John Smart
  http://en.wikipedia.org/wiki/John_Smart_%28futurist%29

・「宇宙において知性の発達が一般的な現象ならば、地球外文明がいまだに見つからないのはなぜか?」というフェルミのパラドックス(Fermi's paradox)を、この仮説によって解くことが出来ると言う。

・充分に発達した文明は、ナノ(10e-9)やフェムト(10e-15)といった極微スケールに情報処理機能を圧縮することによって(あたかも莫大な質量を圧縮することによってブラックホールになるのと同様に)、ブラックホールとなり、この宇宙から消え去ってゆく……という仮説。

・発達した知性は広大な宇宙空間へ乗り出すのではなく、極微スケールの世界に向かって突き進み、やがてマイクロブラックホールとなってこの宇宙から消え去るのだ…という仮説。

・この仮説における、知性体の大雑把な歴史は…
  ・ビックバン→物質→原始的生命→動物→知的生物(人類とか)→人工知能→"Self-aware computers"(自意識のあるコンピュータ)→ブラックホール→この世界から消え去る
  ・「人類が」この宇宙から去ってゆくのではないことに注意。
  ・自意識をもつコンピュータから更に数世代進化した機械知性体が STEM compression(後述)によってブラックホールの彼方へ移行する。

・"STEM compression":この宇宙から消え去る原理(らしきものw)
  ・STEM : Space, Time, Energy and Matter:(空間、時間、エネルギー、物質)の総称
  ・STEM による単密度あたりの計算効率がオメガポイント("omega point"、訳注:コメント参照)を超えた時点で、ブラックホールが発生する。ブラックホールを経由して別の世界へ。

・Seth Lloyd によればプランク距離(量子論に基づく空間的分解能の本質的限界)による計算処理のための微細化限界が 250~600年先には訪れると予想している。

・紹介動画(2分25秒):かなり熱い概説w


ソース: http://accelerating.org/articles/transcensionhypothesis.html


コメント:
・"Transcension" という単語は辞書にはない。超越と訳したが、デタラメかも。

・この仮説で仮にブラックホールが発生しても、ホーキング放射で蒸発してしまいマズイことになるような気がするが…。またブラックホールを通っても結局、ホワイトホール経由でこの宇宙の別の時空に出てくるだけではないか、という疑問も…

・なおこの仮説にとって重要な事として、「ブラックホール脱毛定理」に基づいて、ブラックホールは飲み込んだ情報を全て破壊するという説が、つい10年ほど前に覆っている。つまりブラックホールに飲み込まれた情報は失われない(場合がある)。  
  参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB

・Wikipedia によると "STEM compression"の事を以前は "MEST compression"と呼んでいたという。名称を変更した理由はたぶん悪名高いカルト教団の Scientology(サイエントロジー)が全く同じ単語の組み合わせの MEST (Matter, Energy, Space and Time)という言葉を使っているからだろうw
  参考: http://en.wikipedia.org/wiki/MEST_%28Scientology%29


・この仮説はたとえて言えば…
  クラークの SF小説『幼年期の終わり』に進化論的宇宙論+ブラックホールの時空間理論+量子情報理論+自己進化する人工知能+バーチャル世界、を付加したような感じ。実際、この仮説についてソース記事では
 "Vinge (1986), Banks (1988), Brin (1998a) and others have explored variations of this idea in science fiction."とも書かれているから SF小説とアイデアを共有しているらしい。

・そういえば小松左京の短編 SF 小説にも似たようなプロットのものがあった。『すぺるむ・さぴえんすの冒険』(角川文庫『ゴルティアスの結び目』に収録)がそれ。あと『BS6005に何が起こったか』(角川文庫の『牙の時代』に収録)も若干、関連するか。


・だが、この仮説の基底には SF というより、宗教・神話的イメージがあるようだ。

  ・インド的な解脱のイメージを俗化し SF的文明史に編み直したような…

  ・あるいはユダヤ・キリスト教的な、終末後の「新世界の到来」のイメージだ。塵(dust)に由来する物質の制約を逃れ、より純粋で精妙な非物質的世界(プラトンのイデア)へ移行する…このような発想。

    ・士郎正宗の『攻殻機動隊』を押井守が映画化した時もそうだ。草薙素子がネットの知性体と融合する場面が、天使が舞い降りるイメージで表現されていた。


・もう一つ、この仮説で連想したのが、レイ・カーツワイルの『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』という本。IT/SF/理系の単純馬鹿は脳天気で幸せなヤツラだよなぁ…とつくづく思い知らされる本だw  
20120420_book_post_human.jpg

  ・この本の内容についてはたとえば次の Blog記事に詳しい。
   ポスト・ヒューマン誕生というテクノロジー礼賛の物語
   
  ・この本の読者レビューの中にこの仮説のベースとなる SF的発想が詳しく書かれていて参考になるので以下に引用しておく。

    ・意識=>知性=>計算=>コンピュータという極端な矮小化を済ませた後に、コンピュータだけを極大化させる、という発想の暴走は「所詮は SF、たかが SF」という砂箱(sandbox)の中の遊びだから面白いのであって、レイ・カーツワイルみたいに大マジでやられるとかなり気恥ずかしい(下のレビューに対する批判ではない)。


非常に予言的なSF小説がある。物理学者ロバート・L・フォワードが書いた「竜の卵」だ。中性子星上の生物が登場するのだがその生物の身体や文明は化学的相互作用、つまり電磁気相互作用の替わりに核力による強い相互作用を使っていて人類の百万倍の速度で活動し、百万倍の速度で進化するのだ。彼らは人類との遭遇時点では原始的な部族社会を営んでいるのだが思考速度が人類の百万倍だから人類をあっという間に技術的に追い越していく。

特異点後の機械生物の行動は「竜の卵」で描かれた中性子生命体と酷似するはずだ。彼らの思考速度はあっという間に人間の百万倍を超えるだろうし、またたく間に一兆倍に達するだろう。宇宙全体に時空転移していくだろうし、並行宇宙や多次元空間にも進出するだろう。なんといっても人間の百万倍の速度で技術的に進化していくのである。宇宙全体や多次元空間に進出しなかったらむしろ不思議である。

面白いのは物理学者フランク・ティプラーの「オメガ・ポイント」の概念だ。これは宇宙全体がコンピュータによって知性化されることを指していて、これもまた特異点後の宇宙の展開に酷似している。ティプラーはそのほとんど無限大とも思える処理能力を持つコンピュータの中の仮想現実世界では過去に生存していた全ての人類が復活すると予言する。無限大の処理能力を有するコンピュータの内部ではあらゆるありえた人類の歴史の全てがシミュレートされているに違いなく、その中に部分集合として全人類の復活が含まれるというのである。(ティプラーは宇宙がビッグ・クランチに向かう場合に限って、コンピュータの処理能力はクランチの瞬間、つまりオメガ・ポイントで無限大となり、主観的には永遠に計算処理を続けることが出来るとしている)

レビューのソース: http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4140811676



(2012.4.20)





--- (以下、2016-10-30 追加分)---

はじめに:

・上の記事は 4年半も昔のものだが、超越仮説("The Transcension Hypothesis")だけに絞って紹介したものだった。他の穏当な回答案も多数、提案されているが超越仮説のイカレっぷりに匹敵するようなものは無い。(「この世界はシミュレーションなんだよ」仮説もありはするが、比較すると発想が地味で魅力に乏しい)

・イカれた説だけを紹介して他の穏当な説を全く紹介しないのはまずいかもしれない。そこで補足の意味で、Fermi のパラドックスとその様々な回答案について、詳しく解説した動画を追加しておく。

・下は 1時間弱という長い動画だが、その分、微に入り細に入り詳しく様々な回答案を解説している。

動画(56:40):
・Fermi Paradox Solutions




おまけ:

・高度に発展した文明は極小化しブラックホールを経由してこの世界を超越することで、この宇宙からは消え去るのだ…という仮説を簡単に要約した動画が下。

・3:00 ~4:10 まで。

・5 Reasons Why We Cant Find Extraterrestrial Life - The Fermi Paradox


(2016-10-30)
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