思考に言語は必須ではない。それを示す複数の証拠データがある。 (途中:その2)

履歴


(2020-10-25) 追加。医学データを追加。たぶんこれが決定版。
(2019-08-12) 作成


はじめに


・思考に言語は必須だ…という俗説を過去記事で何度か批判した。たとえば…

  「人間は言語を使わなければ思考できない」という俗説をシンプルに反証する (途中:その2) (2017-08-06)

  思考するには言語が必須か? → No (+追加2) (2017-07-17)

・「思考に言語は必須ではない」ことを示す複数の証拠データを見かけたので記録しておく。

一部引用


20190812_oct_pp173.jpg




20190812_oct_pp173_ret.jpg

出典



20190808_book.jpg

ピーター・ゴドフリー=スミス (著)、夏目 大 (翻訳) 、『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』、みすず書房、2018-11-17、173-174頁

コメント







(2019-08-12)




(以下、2020-10-25 追加分)

前置


・世間によく知られた医学的事実(下)が、「思考に言語は必須ではない」ことを明瞭に示していることに気づいたので追加しておく。

医学的事実



分離脳(ぶんりのう、英: Split-brain)は、脳にある2つの大脳半球を接続している脳梁が、ある程度切断された状態を示す一般用語である。この状態を生み出す外科手術のことを脳梁離断術と呼ぶ。この手術が行われることはまれではあるが、大抵の場合は難治性のてんかんの治療として、てんかん発作の猛威を減らすことにより、物理的な損傷を防ぐために行われる。

分離脳となった患者は、その患者の左視野 (つまり両目の視野の左半分) に画像を呈示された際、それが何の画像なのかを答えることが出来ない。この理由は、多くの人々において言語優位性半球は左半球なのだが、左視野にある画像は脳の右半球にのみ伝えられるためと考えられる。2つの大脳半球の連絡が切断されているため、患者は右半球が見ているものを答えることが出来なかったのだ。しかし、患者は左視野にある物体を左手で掴んだり、認知したりすることが出来る。これは左手が右大脳半球によりコントロールされているためである。

初期の分離脳の研究はロジャー・スペリーによって行われ、マイケル・ガッツァニーガ (Michael Gazzaniga) によって続けられた。この研究成果により、脳機能局在論の重要な理論が生まれることとなった。

分離脳の患者は時々、自らの行動に対する合理的な説明として作話を行うことがある。それは本当の動機が、言語的にアクセスできない右大脳半球で生み出されたため、説明不可能であるからといえる。

ref: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%86%E9%9B%A2%E8%84%B3


上の医学的事実から言えること


・事実:分離脳患者の右脳は言語を使えない。

・「思考に言語は必須だ」という(分析哲学者などが宣う)俗説が正しければ、その患者の右脳は思考していないことになる。だが、実際の医学実験結果(上)はそれを明白に否定している。

コメント1


・分離脳患者の実験はノーベル医学賞の対象でもあるし、昔からよく知られている。だが、私は今までこの分離脳患者の実験結果が「思考に言語は必須ではない」ことを明瞭に立証していることには気づかなかった。迂闊というか鈍いというか。

・最初の記事から 3年を要したが、ようやく確実な医学的根拠に基づいて「思考に言語は必須ではない」事を論証できたと思う。

・たぶん、私の常識が古いだけで、世間では「思考に言語は必須ではない」ことくらいは常識化しているような気もする。

コメント2


・9年ほど前の過去記事(下)で Ludwig Wittgenstein(ウィトゲンシュタイン)などの言語分析哲学を、イメージ能力の枯渇だと批判したが、まさにそのイメージ能力の源泉(=右脳)が Ludwig Wittgenstein 流の哲学の抱える根本的欠陥を暴いた。


・ウィトゲンシュタインにのめりこむような哲学者にありがちなことだが、言語の過大評価とイメージ能力の枯渇が夢に関する彼の戯論の背景にある。

ref: メモ:明晰夢:スティーヴン・ラバージの実験と分析哲学者の戯論 (2012-01-23)


関連


  メモ:明晰夢:スティーヴン・ラバージの実験と分析哲学者の戯論 (+追加) (2018-08-10)

  メモ:眼の左右の視野と左脳・右脳への視神経の配線 (2011-11-26)


(2020-10-25)
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