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覇権国家の過去の変遷のグラフは中国の覇権奪取の歴史的必然を示しているのか?

前置


・一つ前の記事、

  Ray Dalio : 今の「カネの刷りまくり」の後に、革命か戦争が起きる。 - http://news21c.blog.fc2.com/blog-entry-15996.html (2020-05-22)

 で Ray Dalio が取り上げたグラフ(下)に類した図はこれまでも何度も過去記事(*1)で取り上げてきた。

・このような覇権国家の過去の変遷のグラフは、中国による覇権奪取の歴史的必然を示す…そのように大勢の論者が主張している。

20200523_chart2.jpg


・だが、このようなグラフは中国の覇権奪取を意味するのだろうか?

このグラフは中国の覇権奪取を意味せず、衰退を示している


・Ray Dalio を含め大勢の論者は、この図から「中国の覇権奪取の歴史的必然」を読み取っている。

・だが、冷静に図を眺めると別の面が見えてくる。その「別の面」を図解したのが下。

  ・緑の太線は日本。赤は中国。

  ・1950-1980 の間の日本の急成長(緑)が中国(赤)の軌跡――特に急な傾き――と極めて類似している。

  ・これほどの急な成長はグラフのどこを見ても存在しない。つまり類例が日本のソレの他にはない。

  ・よって、中国の急成長は日本のそれと同じバブルであり、他の覇権国家の(緩やかだが足取りがしっかりした)成長と同等に比較できる性格のものではない。このことは他の無数のデータからも裏付けられる。

20200523_chart_cmt.jpg


結論


・現在の中国は 1990年の日本。中国は今後、1990年以降の日本と同様の軌跡をたどるだろう(実弾が飛び交う米中戦争なしの場合)。

・米中戦争となれば、1990年ではなく 1940年の日本の軌跡をたどることになる筈。

おまけ


・この手のグラフから、

  過去の覇権国家が衰退した後、二度と覇権国家に返り咲くことがない。

 ことも読み取れる。なぜ二度と覇権国家にならないのだろうか?

・思うに一旦、覇権を握った国家では、その国民のエトス(Max Weber の言うアレ)がそれ以前とは不可逆的な変化を来すからではなかろうか。(こんなことは既に誰かがもっと精密かつ的確に述べている筈)

・卑近な喩えで言えば…。貧乏人出身の人物が、辛苦の末に大財閥を作り上げたとする。当然、大財閥の創設者のエトスとしてカネ勘定の才覚を何よりも尊ぶ。だが、財閥が安定した二代目、三代目となるとそのエトスは変化している。カネよりも名誉となる。さらに名誉の次には学識や芸術といった精神性を求めだす。

・初代の大富豪はカネ勘定で手一杯の人生だが、その息子には旧華族のお嬢さんと結婚させたがる。さらに孫には学者(大学教授)や芸術家、一流文化人が望まれる。有り余るほどの金持ちとなれば、カネで買えないものが欲しくなる。

・国民のエトスも同じ。覇権国家を目指している間は国民のエトスも軍事・経済が最優先。だが一旦、覇権国家を味わったならば、国民のエトスは文化や芸術(という高等っぽい お遊戯)を求めだす。一旦、そのようなエトスが形成されてしまったならば、再び覇権国家を奪取するのに必須な地味で泥臭い辛苦からは逃れようとする筈。

・要するに…。汚れ仕事や退屈で泥臭い仕事は移民や DQN にやらせておけ、我々は洗練されているから文化や芸術を担うのだ、というわけ…w

・最近の日本では、さらに態度がつけあがって芸人やエセ芸術家が製造業を軽視し「政府はカネを出して我々の文化・芸術産業を支援する義務がある」とまで言い出しているほど。このような発言が生まれる背景には国民のエトスの変化がある。

(*1)


・例えば…

  いつまでドルの基軸通貨が続くのか? (2014-06-14)

  Simon Black : 長期に渡る経営不振で、Warren Buffett も IBM を見捨てた。 (2018-11-07)


(2020-05-22)
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