メモ:命題論理における「ならば(含意、条件法)」のスッキリした説明

・以下、自分用メモ



はじめに:

・命題論理における含意(ならば、記号では 「⇒」 )とは…
20120716_logic1.jpg

  出典:田崎晴明 『数学 ― 物理を学び楽しむためにー 暫定版(2012 年3 月)』 23頁
  (数学の教科書(無料)): http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/mathbook/


・この「含意(ならば)」は分かりづらいと言われている。たとえば…

---
 命題 P ⇒ Q は通常「P ならば Q」あるいは「P は Q を含意する」と読む。この読み方と定義 (2.1.16) とのギャップに悩む人が多いので、ここで少し詳しくみておこう。

 われわれの通常の感覚では「ならば」というのは何らかの因果関係を表わす言葉なので、単に二つの命題を並べて「ならば」と言われても意味がよくわからない。たとえば、「“2+3 = 5”ならば “三角形の内角の和は 180 度”」は(「ならば」の前後の命題はどちらも真だから)真ということになる。けれど、内角の和が 180 度になるのは三角形の性質であって 2+3 = 5 の「おかげ」ではないので、日常感覚ではこの文章は奇異にみえる。あるいは、「“2 + 3 = 18”ならば “円周率は 4 より大きい”」も(「ならば」の前後の命題はどちらも偽だから)真ということになるが、やはり変である。

 しかし、すぐ後でみるように、(2.1.16) によって「P ならば Q」を定義すると、実際、「ならば」が満たすと期待される性質がきちんと成り立つのである。だから、日常感覚で考えて気持ちが悪くても、これが論理としては正しい「ならば」の定義だと考えるべきなのだろう。
--- 出典:田崎晴明 『数学 ー 物理を学び楽しむために ー 暫定版(2012 年3 月)』 23頁



・下の本でもその腑に落ちない点を 29頁から詳しく説明している。真理表が成立することは 30頁の説明で(すこし遠回りな感じだが)納得させられる。
20120716_noya1.jpg

20120716_noya2a.jpg

20120716_noya2b.jpg

20120716_book.jpg

 出典:野矢茂樹 『論理学』東京大学出版会 1994年 29頁から。




・以下で「この含意(ならば)」のスッキリした説明を試みる。私にとってスッキリしたというだけのことで、数学的にエレガント(or 有意義)なものかどうかは知らない。


・予め、簡単に説明の道筋を説明すると、

  ・含意の否定の否定を行う。(結果は変わらないはず)

  ・最初の否定の箇所で「含意(ならば)」の否定を行う。

  ・2つ目の否定の箇所にド・モルガンの定理を適用

・「含意(ならば)」の説明にド・モルガンの定理を使うのは鶴亀算を代数方程式で解くようなもので、若干卑怯な気がするが…w



説明:

(1) 「P ならば Q」の否定を考える。

  「P ならば Q」は論理記号で表現すると ( P ⇒ Q ) だから、「P ならば Q」の否定は

   ¬(P ⇒ Q)

  となる。


(2) 「P ならば Q」の否定は、その意味から「P なのに Q ではない」となる。


(3) 「P なのに Q ではない」を論理記号で表現すると

   ¬(P ⇒ Q) = ( P ∧ ¬Q)

  となる(右辺)。

  ・この(2),(3)の流れに疑念を持つようであれば、下の引用でダメ押ししておく。

20120716_logic2.jpg

    出典:原 惟行,松永 秀章『イプシロン・デルタ論法 完全攻略』共立出版、2011年12月3頁


(4) この (3)の右辺の否定をとると、ド・モルガンの定理より

   ¬( P ∧ ¬Q) = ¬P ∨ Q

  となる。


(5) この (4) は (1) の否定の否定だから (1) と等しい。よって

  ( P ⇒ Q ) = ¬P ∨ Q

  この論理式は最初の含意の真理表と等しくなっている。(終)





おまけ(解釈):

・以上で、( P ⇒ Q ) が ¬P ∨ Q となる説明は終わりだが、気分的にはスッキリしないものが残る筈だ。それは上述の教科書の中で「日常感覚で考えて気持ちが悪」い、と表現されている事が未解決のまま、という感じがするからだ。

・その気持ちの悪さを少しでも解消しようとして考えたのが次の解釈。数学的に正しいかどうかは全く自信がないが、記録しておく。


・さて、気持ち悪さの根源は、含意の真理表(下図)

20120716_logic3.jpg

 の下の 2行、P が偽の時に右辺が真となっているところだ。

・そこで、この問題の 2行が帰謬法を表現していると解釈する。つまり

 「P ⇒ Q」の関係が成立する場合、……(a)

 (Q = T) と (Q = F) が共に導き出せたならば(つまり矛盾が生じたならば)、……(b)

 P は F である(つまり前提は成立しない)。……(c)


  ・上記の (a) が真理表の右端を表している。

  ・上記の (b) が真理表の下2行の Q の列を表している。

  ・上記の (c) が真理表の下2行の P の列を表している。

・真理表の右端の下2行が T なのは、

  ・「[帰謬法の前提( P = T)]が成立していない」事が成立している事を示している。

(2012.07.16)



2012.07.17 : 追記

・含意に関連して以下のパラドクスがあるという。
20120717_naraba_paradox.jpg


  出典:金子洋之 『記号論理入門』産業図書、1994年、165頁

(2012.07.17) 追記



・参考
 Keith Devlin 教授:命題論理における「ならば(含意、条件法)」の説明

(2013.02.28) 追記

関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

横着者 (ご連絡はコメント欄にて)

Author:横着者 (ご連絡はコメント欄にて)

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR