Kyle Bass が日本の破滅に賭けて 29%もの損失を招いた理由
要旨(複数のソースを混ぜ混ぜ):
・Kyle Bass(下の写真) はサブプライム危機で儲けた数少ないヘッジファンドのマネージャーだ。

・その彼が今、狙いを定めているのが日本の破滅に賭けた荒稼ぎだ。日本が近く、破滅すると確信している理由は…
・日本政府の GDP に対する債務の比率が 229% で、この数字はギリシャを凌いで世界一。


(負債の GDP 比率の図)
・日本の人口はこれから減る一方で、人口が減れば GDP は下がるから、負債の GDP 比率は更に悪化する。これは避けられない。

(日本の人口予測の図)
・ところが、日本の破滅に賭けた Kyle Bass のファンドは 29%もの巨額の損失を被っている。Kyle Bass の何がまずかったのだろうか?
・Kyle Bass の予想は基本的に正しいが、時期が早すぎた。遅かれ早かれ日本の破滅は確実だ…こう見るのが一般的だ。
・だが、Harvard Business School(ハーバード・ビジネス・スクール)が 4月に行った事例研究では、 Kyle Bass の予測は前提から間違っているという。
・それゆえ、日本の破滅をいくら待っていても、彼のファンドが持ちこたえられる期間の間にそれが実現することはない、というのだ。
・Kyle Bass の前提の間違いとは…
・GDP はフロー(国家の一年間の総収入)を示すものであり、負債はストック(過去からの総負債)を示すものだ。
・つまり、ストックとフローという互いに異なった種類のものの比率なのだ。従って、負債の GDP 比率は(国債の)利率や信用リスクについて何も語らないのだが、彼はそれを理解していない。
・その証拠として、負債の GDP 比率と利回りをグラフにしてみると下図のようになる。Kyle Bass の期待とは逆に負の相関となっている。

・さらにアメリカの場合のグラフを下に示す。負債が劇的に増加しているのに、利回りが低下している。

・また、Kyle Bass は日本の国債がこの先、国内では消化できず、国外投資家に購入してもらう必要があることを破滅の理由の一つにしている。
・だが、国債を購入するのが国内投資家であろうが、国外投資家であろうが、違いがあるという証拠はない。
・アメリカの場合を見てみよう。下の図が国外投資家による負債額だ。このように国外投資家の割合がどれほど増えようが利回りは上昇していない、という実績がある。

・一方で、イタリア国債は大半がイタリア国内で消化しているのに、危ない状況だ。
ソース:
http://www.businessinsider.com/japan-is-never-going-to-default-2012-5
http://www.zerohedge.com/news/guest-post-cashing-japans-debt-conundrum
http://www.valuewalk.com/2012/05/kyle-bass-japan-macro-fund-down-29-for-april/
コメント:
・さすが Harvard Business School だけある。後付けの解説の見事なこと…w

(写真のソース:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB)
(2012.06.02)
・Kyle Bass(下の写真) はサブプライム危機で儲けた数少ないヘッジファンドのマネージャーだ。

・その彼が今、狙いを定めているのが日本の破滅に賭けた荒稼ぎだ。日本が近く、破滅すると確信している理由は…
・日本政府の GDP に対する債務の比率が 229% で、この数字はギリシャを凌いで世界一。


(負債の GDP 比率の図)
・日本の人口はこれから減る一方で、人口が減れば GDP は下がるから、負債の GDP 比率は更に悪化する。これは避けられない。

(日本の人口予測の図)
・ところが、日本の破滅に賭けた Kyle Bass のファンドは 29%もの巨額の損失を被っている。Kyle Bass の何がまずかったのだろうか?
・Kyle Bass の予想は基本的に正しいが、時期が早すぎた。遅かれ早かれ日本の破滅は確実だ…こう見るのが一般的だ。
・だが、Harvard Business School(ハーバード・ビジネス・スクール)が 4月に行った事例研究では、 Kyle Bass の予測は前提から間違っているという。
・それゆえ、日本の破滅をいくら待っていても、彼のファンドが持ちこたえられる期間の間にそれが実現することはない、というのだ。
・Kyle Bass の前提の間違いとは…
・GDP はフロー(国家の一年間の総収入)を示すものであり、負債はストック(過去からの総負債)を示すものだ。
・つまり、ストックとフローという互いに異なった種類のものの比率なのだ。従って、負債の GDP 比率は(国債の)利率や信用リスクについて何も語らないのだが、彼はそれを理解していない。
・その証拠として、負債の GDP 比率と利回りをグラフにしてみると下図のようになる。Kyle Bass の期待とは逆に負の相関となっている。

・さらにアメリカの場合のグラフを下に示す。負債が劇的に増加しているのに、利回りが低下している。

・また、Kyle Bass は日本の国債がこの先、国内では消化できず、国外投資家に購入してもらう必要があることを破滅の理由の一つにしている。
・だが、国債を購入するのが国内投資家であろうが、国外投資家であろうが、違いがあるという証拠はない。
・アメリカの場合を見てみよう。下の図が国外投資家による負債額だ。このように国外投資家の割合がどれほど増えようが利回りは上昇していない、という実績がある。

・一方で、イタリア国債は大半がイタリア国内で消化しているのに、危ない状況だ。
ソース:
http://www.businessinsider.com/japan-is-never-going-to-default-2012-5
http://www.zerohedge.com/news/guest-post-cashing-japans-debt-conundrum
http://www.valuewalk.com/2012/05/kyle-bass-japan-macro-fund-down-29-for-april/
コメント:
・さすが Harvard Business School だけある。後付けの解説の見事なこと…w

(写真のソース:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB)
(2012.06.02)
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Topic : 国際経済
Genre : Politics/Economics
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要旨(複数のソースを混ぜ混ぜ):・Kyle Bass(下の写真) はサブプライム危機で儲けた数少ないヘッジファンドのマネージャーだ。・その彼が今、狙いを定めているのが日本の破滅に賭