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Yuval Harari : 資本主義経済が近代ヨーロッパでのみ発生した理由

はじめに


・タイトルで、大概の人は Max Weber の説(*1)を思い出す筈。

・だが、歴史家の Yuval Harari が Max Weber の説とは全く別の理由を唱えている。

・Yuval Harari の説は Max Weber の説と対立するわけではないが、切り口が全く異なる。Max Weber は宗教的意識を根本的な理由としているが、Yuval Harari は科学技術の急速な発展による経済成長を理由だとしている。

・Max Weber の説は社会(科)学の領域にありがちな、眉唾でこじつけめいたところ が多分にあるが、Yuval Harari の説はそれをあまり感じさせない。一方、Max Weber の説は逆説めいた面白みがあって人気を得たが、Yuval Harari の説は「なぜ今までそれに気づかなかったのだろう」という気を起こさせるほど自然。

該当箇所


・冒頭から 15:00 あたりまでは経済学の知識に疎い視聴者向けに入門的な説明に費やしている。経済学の基本(信用創造)なのでスキップしてもタイトルの件の理解に差し支えないが、経済学者の無味乾燥な説明に比べると遥かに面白く、分かりやすい。


・11:00 から、それまでの要約。信用は未来に対する信頼。

  近代資本主義以前:今現在に存在するモノに対する信頼
  近代資本主義以後:未来に存在しうるモノに対する信頼+未来は現在より発展しているという確信

・17:00 あたりからがタイトルの件。

動画(19:33)


Understand how Credit works. Mind blowing explanation by Professor Yuval Noah Harari



脚注(*1)


・『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で主張。Wikipedia がうまくまとめている。


ヴェーバーによると、以下のようになる。

カルヴァンの予定説では、救済される人間は、あらかじめ決定されている。したがって、人間の努力や善行の有無などによって、その決定を変更することはできない。つまり、善人でも救われていないかもしれないし、悪人でも救われているかもしれないのである。また、人間は、神の意思を知ることができない。したがって、自分が救済されるのかどうかをあらかじめ知ることはできない。

予定説における決定論は、仏教における因果論とは正反対の論理である。因果論においては、「善行を働けば(因)救われる(果)」のであるから、人間の神や仏に対する働きかけ(たとえば、寺院へのお布施や教会への寄付は、救済を金で買う行為であると言える)によって、救済が可能である。しかし、それはある意味では、自分が救済されるために、神や仏を道具として使うことである。そのため、それは、神に対する冒涜である。そこで、カルヴァン主義では、神の絶対性を守るために、予定説が採用された。そして、予定説においては、神は、人間の行為や意思に一切左右されることなく、絶対専制君主として振舞うのである。

予定説によれば、善人でも救われていないかもしれないし、悪人でも救われているかもしれない。となると、人々は悪事を働きそうなものであるが、実際にはそうはならなかった。

キリスト教においては、人生は一度きりであり、仏教のように何度も生まれ変わる(輪廻転生)ということはない。そして、死後(第1の死)に再び肉体を与えられて、最後の審判に臨むときに、救済される人間として選ばれなかった者は、永遠の地獄に落ちる、あるいは、消滅する(第2の死)。そして、そうなってしまえば、救済や復活は、もう二度と起こらない。

このように、善行を働いても救われるとは限らない。また、自分が救われているかどうかをあらかじめ知ることもできない。そして、もし選ばれていなかったら自分は永遠の地獄に落ち、二度と救済されることがない。このような予定説の恐るべき論理は、人間に恐怖と激しい精神的緊張を強いる。そして、人々は、そこから逃れるために、「神によって救われている人間ならば(因)、神の御心に適うことを行うはずだ(果)」という、因と果が逆転した論理を生み出した。そして、一切の欲望や贅沢や浪費を禁じ、それによって生まれたエネルギーのすべてを、信仰と労働(神が定めた職業、召命、天職、ベルーフ)のみに集中させた。こうして、人々は、禁欲的労働(世俗内禁欲、行動的禁欲、アクティブ・アスケーゼ)というエートスを生み出したのである。

そうして、人々は、世俗内において、信仰と労働に禁欲的に励むことによって、社会に貢献した。そして、この世に神の栄光をあらわすことによって、ようやく自分が救われているという確信を持つことができるようになったのである。

しかし、禁欲的プロテスタンティズムが与えた影響は、それだけではない。禁欲的プロテスタンティズムは、「利潤の肯定」と「利潤の追求の正当化」を生み出した。つまり、金儲けに正当性を与えたのである。

それまで、金儲けは、高く評価されるものではなかった。そして、プロテスタンティズム、特にカルヴァン主義は、最も禁欲的であり、金儲けを強硬に否定する宗教であった。

金儲けに正当性が与えられない社会では、金儲けは当然抑制され、近代資本主義社会へと発展することはないはずである。

しかし、最初から利潤の追求を目的とするのではなく、行動的禁欲をもって天職に勤勉に励み、その「結果として」利潤を得るのであれば、その利潤は、安くて良質な商品やサービスを人々に提供したという「隣人愛」の実践の結果であり、その労働が神の御心に適っている証であり、救済を確信させる証である。このようにして、皮肉なことに、最も金儲けに否定的な禁欲的な宗教が、金儲けを積極的に肯定する論理と近代資本主義を生み出したのである。

人々は、「結果として」の利潤の追求に励むことになる。利潤の多寡は、「隣人愛」の実践の証であり、救済を確信させる証である。そのため、多ければ多いほど望ましいとされた。そして、より多くの利潤を得るためには、寸暇を惜しんで勤勉に労働しなければならない。そのため、人々は時計を用い、自己の労働を時間で管理するエートスが成立した。このことを端的に示す諺が「時は金なり」である。厳格な時間管理の意識は、『近代』的な価値観の特徴のひとつである。そして、スイスなどのプロテスタント圏で時計産業が発達したのも、決して偶然ではない。

それまでの人類の労働のあり方は、南欧のカトリック圏(非プロテスタント圏)に見られるように、日が昇ると働き始め、仲間とおしゃべりなどをしながら適当に働き、昼には長い昼食時間をとり、午後には昼寝や間食の時間をとり(シエスタ)、日が沈むと仕事を終えるというようなものであった。つまり、実質的な労働時間は短く、おおらかで人間的ではあるが、生産性の低いものであったのである。

しかし、プロテスタンティズムは、日常生活の全てを信仰と労働に捧げる、「世俗社会の修道院化」によって、人類の中に眠っていた莫大な生産力を引き出したのであった。

また、サクラメントなどの、非合理な呪術・魔術は、救済に一切関係がない。そのため、そういったことは禁止され、合理的な精神を育てるようになった(呪術・魔術の園[ツァウバー・ガルテン]からの解放)。

節約(無駄を省くなどの支出の抑制)のために、収支を管理して合理的経営を行うのに不可欠な複式簿記が導入された。また、生産性を上げるために、科学的合理的精神に基づいた効率の良い生産方法が導入された。

禁欲的労働によって蓄えられた金は、消費によって浪費されることなく貯蓄された(資本蓄積)。

資本蓄積では、古典的資本主義とは違って、獲得された資本が、財貨財宝などの形に置き換えられる。そのため、資本は、資本としての本質を棄損されることなく、恒常的資本という性質を獲得した。そして、利潤追求のために不断に再投資されることになった。

このように、プロテスタンティズムが生み出した勤勉の精神や合理主義は、近代的・合理的な資本主義の「精神」に適合し、近代資本主義を誕生させた(資本主義の「精神」を体現した人物としては、ベンジャミン・フランクリンが挙げられる)。

ref: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%86%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%80%AB%E7%90%86%E3%81%A8%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%AE%E7%B2%BE%E7%A5%9E


(2020-01-17)

Sven Henrich : 米軍基地にミサイルをぶっ放したヤツラはテクニカル分析を考慮していた?

はじめに


・ジョークの発言だが、下のチャートを見ればそういう気分になるのも理解できる。

引用



20200109_chart.jpg



ref: Sven Henrich on Twitter: "Do the guys that launch rockets consult technical charts?… " - https://twitter.com/NorthmanTrader/status/1215014748707868674


コメント


・私はテクニカル分析を重視しない主義だが、時折「なんでこんなに綺麗に直線に沿って市場が変化するのだろう?」というチャートを見かけることがあり、ちょっとオカルトめいた気分になる。

・このようなチャートになることを行動経済学とかでは、きれいに説明できるのだろうか? それとも単なる線の引き加減や主観と偶然の産物?

(2020-01-09)

Craig hamilton-Parker の予言: 2020年、中国で革命が起きる → いずれ民主化へ。

はじめに


・Craig hamilton-Parker は Trump の大統領当選を予言したサイキック能力者だが、彼の予言には外れも多い。たとえば…

Craig Hamilton-Parker の預言:金正恩が 2017年末 or 2018年始めに失脚する (2017-01-25)

・その Craig hamilton-Parker が 2019-12 に 2020年の予言をしている。その予言の中からタイトルの件に絞る。

抜粋(デタラメ)


・中国で革命が起きる。

・12:30 米中の貿易戦争は続く。

・36:00 すでに香港のデモを予言して当たったが、これは今後もおさまらずに続く。中国本土にもそれが波及する。

・2020年以降になるが、中国指導部は民主化のための大きな妥協を強いられるだろう。やがてはチベットなどが独立するかも。

・やがて中国は民主化し、孫文の思想を掲げる。

動画(58:32)


・19,302 views,Dec 27, 2019
・2020 Psychic Predictions - All and New from Craig hamilton-Parker


(2020-01-02)

榊 淳司 : 中国で拘束されたらどんな目に合うか、アメリカ人の経験者は語る。

動画(12:07)


・中国で拘束されたらどんな目に合うか、アメリカ人の経験者は語る by榊淳司


コメント


・これは榊が別の動画で語っていたことだが…

  ・中国当局は捕らえた人物の脳を破壊することもやってのけるらしい。ビニール袋を頭にかぶせ、呼吸困難にさせ、酸素不足で脳に壊滅的なダメージを与えるのだと。その結果、被害者は永続的な痴呆状態になって解放されるのだと。

・打撲などの外傷が外見に残らない…つまり拷問の明確な証拠が残らない。敵が有能なら、ひっ捕らえて拷問にかけ、痴呆にして返す。いかにも中国共産党がやりそうな手口。

・同様の拷問は米グアンタナモ収容所や CIA もやっている筈だが、被害規模も悪辣さのレベルも中国共産党の圧勝だろう。

(2019-12-18)

Ray Dalio が四半世紀をかけて編み出した「正しい経営判断を下す合理的な方法」

はじめに


・Ray Dalio はヘッジファンド界の超大物。

・その彼がタイトルの件を講演で語っている。

・彼はかつてヘッジファンドを立ち上げて成功し TV に出演するほどとなったが、後に大損して全てを失った…という大失敗の経験がある。その経験を元に四半世紀をかけて編み出した「正しい経営判断を下す合理的な方法」を詳しく説明している。

・世にあふれる「私はこうやって成功した。君たちにも成功のコツを伝授しよう」…的な、逸話主体のありがたい訓話とは全く次元が異なる。

・その方法を一言で言えば、

  ・優れた才能をもつ人材を集め、
  ・誰もが地位や立場から完全に自由な議論ができる仕組みを用意し、
  ・議論参加者が他の意見を評価し、それを機械的にクロス集計した表生成し、
  ・個々人の信憑度の尺度に基づいて俯瞰的な経営判断を下す。
  ・そのためのツール群とアルゴリズムを開発した。トップ個人の直感に頼らず、偏見にも影響されない。

 というようなものらしい。この方法により、組織にありがちな不透明かつ非合理な因習的欠陥から解放されるのだと。

該当箇所


・15:40から19:00 あたりまで

・独裁でも多数意見でもなく、個々人の信憑度評価を元にしたアルゴリズムで俯瞰的な経営判断を下す。

・31:35 この方法は「超エリート戦闘部隊向け訓練」の知性版("intellectual Navy Seals")だ。

・33:00 この方法を身につけた人間は他の会社に移ろうとは思わなくなる。なぜなら他社では、社内政治や関係者に対する厄介な対人折衝などの不透明かつ非合理な行動パターンを要求されるから。

20191117_rd_2.jpg


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講演動画(1:06:15)


・244,526 views,Jan 8, 2019
・Principles for Success from Ray Dalio: Founder of the World’s Largest Hedge Fund


コメント


・つまり、この方法は

  ・(a) 多くの優秀な人材の才知を集め、
  ・(b) 彼らの多種多様な意見を(互いに潰し合うことなしに)系統的に結集し、
  ・(b) 効果的な評価システムに基づいて正しい判断を引き出す

 ように工夫された仕組みらしい。

・だが、たいがいの組織は出だしの (a) の時点、つまり「多数の」優秀な人材を集める時点でもう躓く。烏合の衆の衆知をどれほど集めたところで凡庸な判断しか出てこない。

・さらにこの方法はヘッジファンドのような、リスク評価が経営判断の生命線を握る組織には適合しているが、技術開発志向の企業や製造業などの普通の企業にはそれほど必須ではない筈。後者の場合、経営判断でリスク評価を過大視すること自体がリスクになりうる。

(2019-11-17)
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